3度目の基本情報技術者試験を終えて

2024年4月入社の吉岡です。今年の初めに入社して初めて案件にアサインして頂き、必死になっていたらいつの間にか春でした。右も左も分からない状態から少しずつ理解できることが増えるとやりがいを感じ、「もっと理解できることが増えたらもっと充実感を得られるだろう!」と思うようになりました。
そこで昨年度の目標であり未達成に終わってしまった基本情報技術者試験の取得に再度挑戦してきました。自分は情報処理系専門学校(夜間部)の2年次から資格取得に取り組んできましたので、2年間分の反省をしつつ基本技術者試験そのものについてと取得に向けてどのような取り組みをしてきたかについて記事にさせて頂きます。

基本情報技術者試験とは

ITを活用したサービス、製品、システム及びソフトウェアを作る人材に必要な基本的知識・技能をもち、実践的な活用能力を身に付けた者を対象とした国家試験です。基本情報技術者試験は情報処理技術者試験の試験区分のひとつであり、スキルレベル2に位置づけられています。ITの安全な利用を推進する情報セキュリティマネジメント試験(スキルレベル1)や応用的な知識・技能を測る応用技術者試験(スキルレベル3)、各分野の専門知識が問われる高度試験(スキルレベル4)があります。
下記に基本情報技術者試験の受験に関する情報をまとめておきます。

  • 受験に必要な資格はない
  • 比較的安価な受験料(税込7500円 2025/04/30 時点)
  • 通年で試験を実施されている(再受験の場合は前回の受験から30日後)
  • 試験方式は原則CBT方式(全国の試験会場を選択し会場のあるコンピュータ上で実施)
  • 科目A試験と科目B試験を同日受験しそれぞれ60%以上の得点で合格(科目A試験免除制度*を利用する場合を除く)
  • 試験終了後採点結果が画面に表示され、受験の翌月にIPAのウェブサイトに合格者が発表される
  • 取得後の更新期限がない

*科目A試験免除制度はIPA(情報処理推進機構)が認定した所定のカリキュラムの受講を修了し、かつIPAが提供する修了試験に合格することで科目A試験免除になります。この制度を利用することで科目A試験と科目B試験の同日受験をせずによくなりますが、カリキュラムの受講費用および免除試験の受験費用が掛かります。

試験内容について

〇科目A試験(90分 60問)
ITに関する幅広な知識を測る試験で、テクノロジ分野とマネジメント分野とストラテジ分野から計60問が出題されます。

  • テクノロジ分野(約70%)
    回線の使用率計算やビット計算などの基礎理論・コンピュータの仕組み・ネットワークの仕組みなどに関するITの仕組みや技術について問われます。
  • マネジメント分野(約10%)
    プロジェクトマネージメントやサービスマネジメント、システム監査などに関するプロジェクトやサービスのPDCAサイクルについて問われます。
  • ストラテジ分野(約20%)
    システム戦略や企業活動、法務などに関するITと企業の関わりについて問われます。

〇科目B試験(100分 20問)
アルゴリズム分野に関する問題が16問とセキュリティ分野に関する問題が4問出題されます。

  • アルゴリズム分野
    行うデータ操作についての説明がなされそれを実現するプログラムの穴埋めまたは処理後の結果について出題されます。
  • セキュリティ分野
    情報セキュリティの確保に関する問題が出題されます。

**2023年4月以降CBT方式となり出題された問題の公開がされなくなりました。2024年10月以降はシラバスが改訂され、情報セキュリティに関する用語(例 PCI DSSやSOC など)やビジネスインダストリに関する用語(例 生成AIやハルシネーション など)が追加され、出題範囲が広がりました。

試験対策について

〇科目A試験対策

対策テキストで内容をじっくり把握し、過去問道場で実際に出題された問題を解いて理解を深めていくやり方が効率的だと思います。
自分は最初に問題集付きの基本情報技術対策テキストを購入したのですが、学習を始めたころは説明が不足で理解するのに時間がかかり、学習を進めていくうちに内容が物足りないと感じるようになりました。説明に比重を置いている対策テキストをお勧めします。

加えて自分はITや情報処理についての知識不足ゆえに理解が進まない箇所が多くあったので、より広く浅く学ぶためITパスポートのテキストを購入して取り組みました。ITパスポートの取得をしてから再度基本情報技術者試験の対策テキストに取り組むとスムーズに内容を理解できるようになりました。基本情報の対策に取っつきにくいと感じている場合は、ITパスポートのテキストや過去問を参考にしてはどうでしょうか。

科目A試験は必要とされる知識の範囲が広いので学習しても忘れてしまう箇所が出てくると思いますが、何度も復習をすることが近道だと思います。自分はシラバスを単語帳代わりにたびたび復習を行うようになって知識が定着しやすくなったと感じました。(基本情報技術者試験(レベル2)シラバス)

〇科目B試験対策

  • アルゴリズム分野
    いかに素早く処理をトレースできるかが鍵です。説明文で「この値を操作を行ったらこういう結果になった」と示されていればそれをアルゴリズムにあてはめ、示されていなくても自分で値を設定してアルゴリズムを追いかけるやすくなります。
    科目A試験の範囲であるデータの構造(例 木構造、キュー、スタック など)やデータの操作方法(例 二分探索、バブルソート、逆ポーランド記法 など)の知識がないと解答時間が足りないと思います。逆にデータの構造やデータの操作方法ごとの特徴を知っていると、ほとんどトレースせずに解けてしまう問題もありました。
  • セキュリティ分野
    「こういうシステム体制の企業があり、どのようなセキュリティ対策がとれるか」のような出題のされ方が多く、科目A試験の知識があれば解答できる問題です。
    説明の文章は長めなので、先に問題文と選択肢を確認してから説明文を読むとキーになる箇所が確認しやすいと思います。また完全に自分の好みなのですが、セキュリティの問題を解いてからアルゴリズムの問題に解く方が心理的に楽でした。

自分の試験結果

1回目(入社前) 科目A:620点/科目B:410点/結果:不合格
2回目(昨年度) 科目A:550点/科目B:715点/結果:不合格
3回目(今年度) 科目A:810点/科目B:685点/結果:5月中旬結果公開

実際どのくらい実務に役立つか?

基本情報技術者試験の資格が直接実務の役立つ機会は少ないと思います。独占業務がなく取得者も多く実務にあたってより専門的な知識・技能を身に着ける必要があるからです。
資格取得そのものが目的というよりも、プログラマ・エンジニアとしての成長を加速させてくれる土台作りのために資格取得を目指すことは無駄でないと思います。実際に案件にアサインされるようになって「大まかに仕組みや流れがイメージできる!」「この部分が問題なのは…ここら辺がネックになっているのかな?」というような機会がありましたし、少なくとも根気強さは身につきました。

おわりに

ITや情報処理に触れはじめて3年が経ちました。何度も挫折をしつつ、いろいろな方の手助けしていただき励ましていただき何とかやっていけています。体力と単純記憶力があるうちに、応用的な試験やインフラに関するような知識・技能・資格を身に着けてより充実した日々を送っていきます!

【参加レポート】4/10開催のAWSセミナーに参加しました!

こんにちは。22年度入社の中島です。

今回は、4月10日に行われたAWSのオンラインセミナー(AWSome Day Online Conference)に参加しました。AWSの資格取得を考えていた私にとって、AWS の基礎やクラウドの全体像を学べる非常に貴重な機会となりました。今回は、セミナーがどのような内容だったか紹介したいと思います。

AWSの概要

セミナーの冒頭では、AWSとは何かという基礎的な部分から始まりました。
AWSは、Amazonが提供するクラウドサービスで、世界中で数百万以上のユーザーに利用されているとのこと。サービスの種類は200以上あり、Webアプリケーションのホスティングから機械学習、ビッグデータ分析まで、あらゆるニーズに対応しています。

クラウドの大きなメリットは、従来のように物理サーバーを購入・構築する必要がなく、必要なときに必要なリソースをすぐに使い始められるという「オンデマンド性」と「スケーラビリティ」です。導入コストや運用コストを抑えつつ、ビジネスのスピード感にも対応できる点が、クラウドが選ばれる理由だと感じました。

セミナーでは、続いて各サービスについての説明がありました。

ストレージ

AWSには多様なストレージサービスがありますが、主なものは、以下の3つ。

  • Amazon S3(Simple Storage Service)
    オブジェクトストレージの代表格で、耐久性99.999999999%(イレブンナイン )を誇ります。ログの保存、画像・動画の保存、バックアップ用途など、多様な使い方が可能です。
  • Amazon EBS(Elastic Block Store)
    EC2のインスタンスに接続して使うブロックストレージ。高性能なI/Oが必要なワークロードに最適です。
  • Amazon EFS(Elastic File System)
    複数のインスタンスで共有できるネットワークファイルシステム。Linuxベースのアプリケーションでよく使われます。

データベース

マネージドサービスとして提供されるAmazon RDSでは、MySQL、PostgreSQL、Oracle、SQL Serverなど複数のDBエンジンがサポートされています。バックアップやパッチ適用などの運用作業を自動化することができ、便利な機能がたくさんありました。

また、NoSQL型のAmazon DynamoDBも紹介され、レスポンスタイムが非常に高速で、柔軟なスケーリングが可能な点が魅力だと感じました。リアルタイムに大量なデータを扱わないといけない場合に活用したいと思いました。

ネットワークとセキュリティ

AWS上のネットワーク設計には、VPC(Virtual Private Cloud)という概念があります。これは自分専用の仮想ネットワークを構築するようなもので、プライベート/パブリックサブネットの設計や、ルーティング、NATゲートウェイなど、細かなネットワーク設計が可能です。

セキュリティ面では、IAM(Identity and Access Management)が重要な役割を担っており、ユーザーやロールごとに細かな権限設定が行えますまた、ファイアウォールのような役割を持つセキュリティグループや、アクセスを制限するネットワークACLの存在も紹介されました。

特に印象に残ったのが、「セキュリティはAWSとユーザーで責任を分担する」という責任共有モデルです。AWSはインフラのセキュリティを提供し、ユーザーはOS・ミドルウェア・アプリケーションレベルでのセキュリティ対策を行う必要がある、という考え方は、今後のクラウド設計において必須の知識だと感じました。

AWSのAIサービスについて

セミナーでは、AWSが提供するAIサービス群についても紹介されましたが、ここではその中でも特に注目したいサービスをいくつか掘り下げてご紹介します。

Amazon Rekognition(画像・動画解析)

Amazon Rekognition は、画像や動画の中に含まれる情報を高精度で分析できるサービスです。使い方はとてもシンプルで、画像や動画をアップロードし、API経由で解析を依頼するだけで行うことができます。セミナーでは、以下のような機能の紹介がありました。

  • オブジェクトとシーンの検出
    画像内に写っている「人」「自動車」「建物」「屋内」「屋外」など、さまざまなオブジェクトやシーンを自動で検出できます。
    例えば、防犯カメラの映像から不審な動きを検知したり、メディア業界でタグ付けを自動化したりといった使い方が可能です。
  • 顔分析と顔認識
    顔の位置、表情(喜び・怒り・驚きなど)、年齢の推定、性別などの顔の特徴を詳細に分析できます。また、顔認証のように同一人物かどうかの比較も可能です。
    これにより、出入管理システムや顧客体験のパーソナライズにも活用が期待できます。

Amazon Comprehend(自然言語処理)

Amazon Comprehendは、自然言語処理(NLP)に特化したサービスで、テキストデータから感情分析やキーフレーズの抽出、言語の判定などを行うことができます。

  • 例:カスタマーサポートのチャットログから、顧客が「満足している」「怒っている」といった感情を分析することができ、対応の改善につながります。

Amazon Polly(テキスト読み上げ)

Amazon Pollyは、テキストを自然な音声で読み上げるTTS(Text-to-Speech)サービスです。

  • 文章を入力すると、40以上の言語・70以上の音声で発音してくれるため、ナレーションの自動生成や、読み上げ機能のあるアプリに最適です。

Amazon SageMaker(機械学習モデルの構築・運用)

Amazon SageMakerは、より本格的に機械学習モデルを開発したい人向けのフルマネージドサービスです。

  • データの準備からトレーニング、デプロイまでを一括で行うことができ、Jupyter Notebookも統合されており、手軽に始められます。

これらのAIサービスの強みは、高度な技術をAPI一つで使える手軽さにあります。機械学習や画像処理といった分野に敷居の高さを感じていた人でも、AWSを使えばすぐに試せる環境が整っているのはとても心強いと感じました。

AWSの無料利用枠について

そして、何よりAWSには、初心者が気軽に始められるよう「無料利用枠(Free Tier)」が用意されています。これはAWSの多くのサービスを一定期間・一定の条件下で無料で試すことができる仕組みです。

【無料利用枠の種類】

  1. 12か月間無料
    アカウント作成から12か月間、以下のような代表的なサービスを無料で使えます。
  • Amazon EC2:Linux/Windowsインスタンスを月750時間(t2.microまたはt3.micro)まで無料
  • Amazon S3:月5GBまでのストレージ使用が無料
  • Amazon RDS:MySQL、PostgreSQLなどのデータベースが月750時間無料
  1. 常時無料(Always Free)
    一部のサービスは期間に関係なく無料枠が継続して利用できます。
  • AWS Lambda:月100万リクエスト、40万GB-秒まで無料
  • Amazon DynamoDB:25GBのストレージ、毎月25ユニットの読み書きキャパシティが無料
  • Amazon CloudWatch:基本的なモニタリング機能を無料で使用可能
  1. トライアルベースの無料枠
    特定のサービスに限り、試用期間中に無料で利用できる枠が提供される場合があります。

【活用時の注意点】

・AWS公式の「コストエクスプローラー」や「料金アラート」を使えば、使いすぎを事前に防ぐことができます。

・料金発生を防ぐためにも、利用量のモニタリング無料枠超過のアラート設定は忘れずに行うことが大切です。

これまでのインフラとこれからのインフラ

セミナーを通して一番印象に残ったのは、「インフラ基盤の在り方が根本から変わっている」ということ。

  • これまでのインフラ
     物理サーバーを自社で購入・設置・運用。時間もコストもかかる。拡張も大変。
  • これからのインフラ
     クラウド上で数クリックで構築。必要な分だけ使って、すぐスケール。グローバル展開も簡単。

例えるなら「家を建てる」のと「ホテルを借りる」くらいの違いがあります。自分のやりたいことにフォーカスし、インフラはAWSに任せるという発想が、これからのエンジニアには欠かせないと感じました。

おわりに

今回のAWSセミナーは、自分にとってまさに「クラウドの扉を開く」きっかけとなりました。難しそうに見えたクラウドも、しっかりと学べば確実に理解でき、資格取得や実践的なスキルアップにもつながります。

今後は無料利用枠を活用して実際に手を動かしながら、AWS認定資格(特にクラウドプラクティショナー)にもチャレンジしたいと思います。そして、ローカル環境だけでなく、クラウドでもインフラを設計・運用できるようになることで、エンジニアとしてのスキルの幅をもっと広げていきたいと思います。

今回はここまで
最後までご覧いただきありがとうございました!